ロレックス

なぜロレックスは昔は安かったのか?徹底解説

ラグジュアリーウォッチワールド・イメージ

ロレックスは、今や誰もが知る高級時計ブランドですが、過去を知る人ほど「昔はもっと安かった」という印象を持っています。

現在の価格帯と比べると、かつての定価や中古相場に大きな差があるのは事実であり、その数字だけを見ると、隔世の感を覚える人も少なくありません。

しかし、その背景を丁寧に整理していくと、単純な値上げや一時的な高騰といった言葉だけでは説明できない、より構造的で段階的な変化が見えてきます。

ブランド戦略の変化、時計市場全体の成熟、情報環境の進化など、複数の要因が重なった結果として現在の価格が形成されているのです。

本記事では、ロレックスがなぜ「昔は安かった」と感じられるのかについて、定価の変遷、市場環境の変化、そしてモデル別の価格差といった視点から整理し、背景を分かりやすく解説していきます。

この記事のポイント

  • ロレックスが昔と比べて高くなった本当の理由
  • 定価と中古相場が大きく違う仕組み
  • 為替や市場環境が価格に与えた影響
  • モデルごとに価格差が生まれた背景
  • 「昔は安かった」と感じる認識のズレの正体

ロレックスが「昔は安かった」と感じられる背景

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多くの人が「ロレックスは昔は安かった」と感じるのは、単純に価格が上がったからだけではありません。

定価水準の変化、為替環境、物価や所得の変動、さらには中古市場の拡大など、複数の要因が重なって“体感価格”が大きく変わっているためです。

この章では、その背景を構造的に整理して解説します。

1990年代〜2000年代前半のロレックスは、現在と比べると定価が大幅に低く設定されていました。

この時代のロレックスは、ラグジュアリーブランドではあるものの、現在ほど「特別な存在」ではなく、実用性を重視した高級機械式時計という側面が強く意識されていました。

当時はスポーツモデルであっても「高級時計ではあるが、頑張れば手が届く実用品」という位置づけが一般的で、購入動機も投資や転売ではなく、長く使うための道具として選ばれるケースが大半でした。

そのため、市場において希少性やプレミア価値が語られることは少なく、今のように資産性や投資対象として注目される存在ではなかった点が、現在との大きな違いと言えます。

モデル例2000年前後の国内定価現行モデルの国内定価(参考)
サブマリーナ約45〜50万円130万円前後
デイトナ約80万円前後200万円超

このように、名目価格だけを比較すると「昔は半額以下だった」という印象が強く残りやすくなります。

ロレックスの価格はスイスフランを基準に設定されるため、日本円での販売価格は為替の影響を非常に強く受けます。

スイスフラン建ての定価自体が大きく変わらなくても、円高・円安の進行によって、日本での販売価格や購買時の印象は大きく左右されます。

特に1990年代後半から2010年代前半にかけては、長期的に円高が進行した歴史的な局面が多く、日本国内では海外ブランド製品全般に強い割安感がありました。

その結果、ロレックスも「輸入高級時計でありながら比較的手が届きやすい存在」と認識されやすく、現在と比べると価格に対する心理的な抵抗が小さかったことが、当時の評価を形づくる重要な要因となっています。

時期為替環境日本での体感価格
1990年代後半超円高非常に安く感じる
2010年前後円高割安感が強い
2020年代円安急激に高く感じる

同じスイス定価でも、為替が変わるだけで「昔は安かった」という印象が生まれやすくなります。

日本では長らく物価が安定していた、あるいは緩やかなデフレ傾向が続いていた一方で、近年はエネルギー価格や食料品価格の上昇を背景に、インフレ傾向がはっきりと顕著になっています。

それに対して、実質賃金や可処分所得は必ずしも同じペースで伸びておらず、家計全体に占める固定費や生活必需品の負担割合が高まっています。

その結果、高額商品に対する心理的・経済的な負担感は、過去と比べて明らかに強まっていると言えます。

  • 昔:物価が安定し、生活コストの先行きが読みやすく、将来への不安も比較的小さい
  • 今:生活コストが継続的に上昇し、可処分所得が圧迫され、将来不安が増大

このような環境変化により、同じ「100万円」という金額であっても、かつては現実的な高級消費として受け止められていたのに対し、現在では支出判断に慎重さが求められる金額となっています。

そのため、名目価格が同じであっても、現在の方が心理的ハードルは一段と高く感じられるのです。

以前は正規店での購入が中心であり、中古市場の情報は専門店や一部の愛好家の間に限られていました。

そのため、多くの消費者にとってロレックスの価格とは、ほぼ正規店で提示される定価そのものを指していました。

しかし現在では、中古市場や並行輸入市場がインターネットを通じて広く可視化され、誰でも簡単に複数の価格帯を比較できる環境が整っています。

【価格認識の変化】
昔:正規店価格 = ロレックスの価格
今:正規店価格 + 中古相場 + プレミア価格

このように価格情報が多層化した結果、モデルや年式によっては定価を大きく上回る取引が一般化しました。

特に人気モデルでは「定価では買えない」「中古の方が高い」という状況が常態化し、それが現在の価格認識の基準となっています。

その反動として、過去を振り返った際に「昔は定価で普通に買えた=今と比べて安かった」という印象が、より一層強く意識されるようになっているのです。

「昔は安かった」という表現は、一見すると単純な価格差を示しているように見えますが、実際には以下のどの基準を前提にして語られているかによって、その意味合いや受け取り方が大きく変わります。

どの視点で比較しているのかを理解しないまま議論すると、認識のズレが生じやすくなります。

基準意味合い
定価ベースメーカー戦略・原価上昇・ブランド価値向上が主因
中古相場ベース投機・人気集中・需給バランスの変化による影響
体感価格所得水準・物価・心理的負担感といった生活環境要因

例えば、定価ベースで見れば「昔は安かった」という評価はメーカーの価格改定やブランド戦略の変化を反映したものになります。

一方で、中古相場ベースの場合は、近年の投機的需要や人気モデルへの集中が価格を押し上げている点が主な理由となります。

また、体感価格という観点では、同じ金額であっても生活コストや将来不安の度合いによって、高い・安いの感じ方が変わることになります。

そのため、単純に過去と現在の価格を比較するだけでは不十分であり、「どの視点の話なのか」「何を基準に安いと感じているのか」を整理したうえで捉えることが、ロレックスの価格変化を正しく理解するために重要です。

昔のロレックスが安く見えた主要要因(定価編)

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ここでは、ロレックスの「定価」がなぜ過去と比べて大きく上昇したのかを中心に解説します。

現在の価格は突発的に上がったものではなく、ブランド戦略や製品設計、生産体制の変化が長年にわたって積み重なった結果です。

かつてのロレックスは「実用時計の最高峰」という立ち位置が強く、過酷な環境でも正確に動作する耐久性や長期使用に耐える信頼性こそが最大の価値とされていました。

そのため、評価軸はあくまで機能性と品質にあり、価格はそれらに見合った対価として受け止められていました。

しかし2000年代以降、ロレックスはこうした実用性のイメージを基盤としつつ、徐々に“世界最高峰のラグジュアリーウォッチブランド”としてのポジションを明確にしていきます。

具体的には、広告戦略の大幅な強化や、テニス・ゴルフ・ヨットレースなどの国際的スポーツイベント、さらには文化・芸術分野への積極的な関与を通じて、成功者や一流の象徴としてのイメージが構築されていきました。

その結果、ロレックスにおいては「高い価格であること」自体がブランド価値やステータス性を示す要素となり、価格そのものがブランドを表現する重要な役割を担うようになったのです。

項目以前現在
ブランド位置づけ高品質な実用時計世界的ラグジュアリーブランド
価格の役割機能に見合う対価ブランド価値の象徴

サブマリーナやデイトナといったスポーツモデルは、かつては数あるラインナップの一部に過ぎず、現在ほど特別視される存在ではありませんでした。

用途やデザインの違いによって一定の支持はあったものの、購入層や需要は比較的分散しており、特定モデルだけが突出した人気を集める状況ではなかったのが実情です。

しかし現在では、これらのスポーツモデルがロレックスを象徴する存在として世界的に認知され、需要が特定モデルに集中する構造へと大きく変化しています。

特定モデルが「定番モデル」や「一生に一度は手に入れたい憧れの一本」として広く共有されることで、需要は一過性ではなく、安定的かつ継続的に拡大するようになりました。

このような強い需要の存在は、ブランド側の価格戦略にも影響を与え、結果として定価設定そのものが引き上げられる要因となっています。

需要の変化
過去:複数モデルに分散
現在:人気モデルに集中

近年のロレックスは、セラクロムベゼルや高精度ブレスレットの採用をはじめ、素材・構造の両面で大きな進化を遂げています。

これらの改良は、単に新しい素材を使っているというだけではなく、傷や退色に対する耐性を高め、長期間使用しても外観や性能が劣化しにくいという実用面での価値向上につながっています。

また、デザイン面においても高級感や完成度が高まり、視覚的な満足度の向上にも大きく寄与しています。

一方で、こうした先進素材の加工や組み立てには、従来以上に高度な技術力と専用設備が必要となり、製造工程は年々複雑化しています。

その結果、1本あたりにかかる製造時間や検査工程も増加し、製造コストは着実に上昇しています。

こうしたコスト増加が段階的に定価へ反映されることで、結果として現在の価格水準が形成されているのです。

進化要素内容価格への影響
セラミックベゼル傷・退色に強い製造工程が複雑化
ブレス改良精度・装着感向上部品点数増加

ロレックスは大量生産ブランドでありながら、その品質基準は年々厳格化されており、量と質の両立を極めて高いレベルで追求しています。

自社一貫生産体制のさらなる強化により、ムーブメントからケース、ブレスレットに至るまで多くの工程を内製化し、品質管理の精度を高めています。

また、一般的なクロノメーター基準を上回る独自の精度検査や耐久テストを導入することで、出荷前に厳しい選別が行われています。

その結果、1本あたりに必要な製造工程や検査時間が増加し、製造コストは確実に上昇しています。

このように、品質の均一化と長期的な信頼性を維持するために継続的な設備投資や人材投資が行われており、そうした見えにくいコストが最終的に定価へ反映されている点も見逃せません。

ロレックスの価格改定は、1回ごとの上昇幅だけを見ると比較的緩やかに感じられることが多いです。

実際、毎年の値上げ幅は数%程度にとどまるケースが多く、短期的には大きな変化として認識されにくい傾向があります。

しかし、この小幅な価格改定がほぼ毎年のように継続して行われることで、その影響は時間の経過とともに確実に蓄積されていきます。

結果として、5年、10年、20年といった長期スパンで振り返った場合、当初の定価と現在価格との間には想像以上に大きな差が生じることになります。

年数小幅値上げの結果
5年数万円〜十数万円
10年数十万円規模
20年旧価格の倍以上も珍しくない

このように、個々の値上げ自体は目立たなくても、長期間にわたって積み重なることで価格水準全体が押し上げられていく点が重要です。

この「緩やかな値上げの累積」こそが、現在振り返ったときに「昔は安かった」と強く感じられる最大の要因の一つと言えるでしょう。

昔のロレックスが安く見えた主要要因(市場編)

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ここでは、定価ではなく「市場価格」の視点から、なぜ昔のロレックスが安く感じられるのかを解説します。

中古市場の成熟や投機的需要の拡大など、市場構造そのものが大きく変化したことが、現在の価格認識に強く影響しています。

かつてのロレックスは、購入後に売却することを前提としない実用品として扱われることが一般的でした。

時計はあくまで長く使うための道具であり、購入後に価値がどう変動するかを意識する人は少なく、売却時の価格は二次的な要素に過ぎなかったのです。

そのため、中古市場自体は存在していたものの、価格情報は限られており、モデルごとの相場や値動きを把握する手段も乏しく、資産価値が広く意識されることはほとんどありませんでした。

しかし現在では、中古専門店の増加やオンラインプラットフォーム、価格比較サイトの発達により、モデル・年式・状態ごとの相場が誰でも簡単に確認できるようになっています。

価格情報が常時可視化されたことで、購入時点から将来の価値を意識する動きが一般化し、ロレックスは「身に着けられる高級品」であると同時に、「価値が残る資産」として明確に認識されるようになりました。

視点現在
中古相場情報が限定的常時可視化
購入目的使用前提使用+資産性

中古市場の透明化と資産性の認識が進んだことで、ロレックスは単なる高級腕時計にとどまらず、投機や転売の対象としても強い注目を集めるようになりました。

特にデイトナやサブマリーナなどの人気モデルでは、正規店での入手が難しい一方で、中古市場では購入後すぐに高値で売却できるケースも多く見られます。

その結果、市場における価格は実際に使用する人の需要(実需)を超えて形成される傾向が強まり、相場全体が押し上げられています。

このような投機的需要は、本来の使用価値や製品としての魅力とは切り離された形で価格を作り出すため、「市場価格=本来の価値である」という誤解を生みやすい側面があります。

価格の高さがそのまま価値の高さだと受け取られやすくなることで、過去の価格と比較した際に「昔は安かった」という印象が、より強調される結果にもつながっています。

価格形成の流れ
実需 → 資産評価 → 投機・転売 → プレミア価格

ロレックス全体の生産本数が大きく変わらない、あるいは意図的に急増させていない中で、デイトナをはじめとする特定リファレンスに需要が極端に集中している点も、市場価格を押し上げる大きな要因となっています。

すべてのモデルが同じように人気を集めているわけではなく、一部の象徴的モデルに評価と関心が集約されていることが、需給バランスを大きく歪めています。

供給が限られているにもかかわらず、需要が世界規模で集中することで、正規店では慢性的な入手困難状態が発生します。

その結果、正規ルートで購入できなかった需要が中古市場へ流れ込み、実際の流通量以上に価格が吊り上げられる構造が生まれています。

この需給のひっ迫が続く限り、市場価格が高止まりしやすい状況が維持されることになります。

状態影響
需要集中入手難易度上昇
供給制限市場価格上昇

日本市場は、長らくロレックスの価格が比較的安定しており、品質や流通量の割に価格水準が抑えられていることから、海外から見て「割安な市場」として認識されてきました。

特に為替が円安に振れた局面では、その価格差がより明確になり、日本国内で販売されているロレックスは、海外バイヤーにとって非常に魅力的な購入対象となります。

その結果、海外バイヤーや訪日観光客による購入需要が増加し、日本国内の需給バランスに直接影響を与えるようになります。

このような状況下では、日本の中古相場はもはや国内需要だけを反映したものではなく、海外からの需要や為替条件を織り込んだ国際的な価格形成へと変化していきます。

そのため、過去の国内相場と比較すると価格水準は大きく切り上がり、「昔と比べて明らかに高くなった」という印象が、より一層強く感じられるようになっているのです。

近年では、SNSやYouTubeを通じてロレックスの相場情報や購入体験、さらには売却実績までが瞬時に拡散されるようになりました。

個人の体験談や価格情報がリアルタイムで共有されることで、かつては専門家や一部の愛好家しか把握していなかった相場観が、一般層にも広く浸透しています。

その結果、ロレックスの価格は「知らない人だけが安く買える」という状況ではなくなりました。

相場がこのように“見える化”されたことで、「このモデルはいくらが適正価格か」「今はいくらで売買されているか」といった共通認識が形成されやすくなっています。

この共通認識そのものが市場心理に影響を与え、売り手は安く手放しにくくなり、買い手も高値を受け入れやすくなります。

その結果、情報拡散が価格を下支えし、場合によっては相場を押し上げる要因として機能しているのです。

情報環境影響
SNS・動画相場の即時共有
共通認識価格の固定化・高止まり

どのモデルがどれくらい「昔は安かった」と言われるのか

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ここでは、代表的なロレックスの主要モデルを取り上げ、「昔は安かった」と言われやすい理由をモデル別に整理します。

単純な定価差だけでなく、需要構造や市場評価の違いによって、価格上昇の度合いには大きな差があります。

デイトナは、現在もっとも「昔は安かった」と語られやすいモデルの代表例です。

かつては他のスポーツモデルと同様、正規店で定価購入できる機会もあり、特別に入手困難な存在ではありませんでした。

しかし現在では、正規店での入手は極めて困難となり、多くの場合は長期間の待機や実質的な購入不可の状態が続いています。

その結果、中古市場では定価を大きく上回る価格での取引が常態化しています。

この大きな乖離は、デイトナが持つ圧倒的なブランド力と世界的な人気、生産数を急激に増やさないロレックスの供給戦略、そして投機的需要が重なった結果です。

純粋に着用するための実需だけでなく、資産保全や価格上昇を期待した購入が増えたことで、市場価格がメーカーの定価とは切り離された形で独自に形成されやすくなっています。

観点過去現在
入手難易度比較的容易極めて困難
価格差定価=実勢定価<<実勢

サブマリーナーはロレックスの定番モデルとして長年にわたり支持されており、流行やトレンドの変化に左右されにくい点が大きな特徴です。

過去においては、プロフェッショナル向けの「実用ダイバーズウォッチ」としての評価が中心で、堅牢性や防水性能といった機能面が重視されていました。

しかし現在では、その長い歴史と完成度の高さから、定番モデルであること自体がブランド価値として認識されるようになっています。

このように評価軸が実用性中心からブランド性・象徴性へと広がったことで、サブマリーナーは常に一定以上の需要を維持しています。

需要が安定して途切れにくいため、相場が大きく下落しにくく、価格が高水準で推移しやすい構造となっています。

その結果、過去の定価と現在の価格を比較した際に、「昔は安かった」という印象が特に残りやすいモデルの一つとなっているのです。

GMTマスターIIは、赤青(ペプシ)や黒青(バットマン)といったカラーベゼルの人気によって相場が大きく左右されるモデルです。

これらの配色は視認性やデザイン性に優れているだけでなく、過去モデルとの連続性やストーリー性も評価されやすく、特定配色が話題になることで需要が一気に集中します。

その結果、短期間のうちに需要が急増し、中古市場では価格が大きく跳ね上がるケースも珍しくありません。

このように人気が周期的に高まるモデルであるため、タイミングによって相場の振れ幅が大きくなりやすい点が特徴です。

そのため、過去の価格と現在の価格を比較すると上昇幅が非常に大きく見え、「昔は安かった」と強く感じられやすい傾向があります。

要因相場への影響
カラー人気価格変動が大きい
話題性短期的高騰

エクスプローラーは、かつてロレックスの入門機として位置づけられてきました。

デザインは極めてシンプルで、過度な装飾を排した実用性重視のモデルであったため、初めてロレックスを購入する層にも選ばれやすく、価格も他のスポーツモデルと比べて比較的抑えられていました。

しかし現在では、ケースサイズの展開拡充やムーブメントの刷新、細部の仕上げ向上といった仕様変更によって市場からの評価が大きく見直されています。

その結果、エクスプローラーは単なる入門機ではなく、「質実剛健な正統派ロレックス」として再評価されるようになりました。

こうした評価の変化に伴い、価格帯も段階的に引き上げられ、過去の価格と比較すると「昔は安かった」と感じられやすいモデルとなっています。

デイトジャストはロレックスの中でも特にバリエーションが非常に豊富なモデルであり、素材(ステンレス、コンビ、貴金属)、ケースサイズ、ベゼル形状、文字盤デザインの違いによって価格評価が大きく異なります。

生産数が多く流通量の多い標準仕様については、比較的価格が安定して推移してきました。

一方で、特定のサイズや人気文字盤、素材の組み合わせなどは需要が集中しやすく、過去と比べて大きく値上がりしているケースも少なくありません。

そのため、過去の価格と比較する際に、一部の仕様だけを基準にして「昔は安かった」と感じてしまうケースが多く見られます。

デイトジャストの場合はモデル全体を一括りにして判断するのではなく、どの仕様・どの条件の個体なのかを踏まえたうえで比較することが重要なモデルと言えるでしょう。

分類価格傾向
標準仕様比較的安定
人気仕様上昇幅が大きい

「昔は安かった」情報を正しく扱うための判断軸

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ここまで見てきたように、「ロレックスは昔は安かった」という言葉には、定価・市場価格・体感価格といった複数の意味が含まれています。

誤解を避けるためには、情報を鵜呑みにするのではなく、どの視点の話なのかを整理して捉えることが重要です。ここでは、そのための判断軸を具体的に解説します。

まず重要なのは、「何と何を比較しているのか」を明確にすることです。ロレックスの価格について語られる際、この前提が曖昧なまま議論されているケースは少なくありません。

メーカーが設定する定価の話なのか、それとも中古市場で実際に取引されている実勢価格の話なのかによって、「昔は安かった」という評価の意味合いは大きく変わります。

定価ベースで見れば、ブランド戦略の変化や原材料費・人件費の上昇によって価格が引き上げられてきた、という整理になります。

一方で、実勢価格ベースで見た場合は、需要の集中や投機的な売買によって相場が形成され、定価以上に価格が押し上げられているという構造が浮かび上がります。

比較軸見える結論
定価ベースブランド戦略・原価上昇で高くなった
実勢価格ベース需要・投機で相場が押し上げられた

このように、同じ「昔は安かった」という言葉でも、どの価格を基準にしているかによって原因の捉え方はまったく異なります。

この軸を曖昧にしたまま議論すると、価格変化の本質的な要因を誤って理解してしまいがちです。

日本円での価格だけを見て判断すると、為替や税制度の影響を見落としやすくなります。

特にロレックスのような輸入高級時計の場合、販売価格は国内要因だけで決まるものではなく、国際的な価格設定や通貨価値の変動が大きく関係しています。

過去の円高局面と現在の円安局面を比較すると、その差はより顕著で、同じ海外定価であっても日本での販売価格や体感的な割高感には大きな開きが生じます。

また、為替だけでなく消費税率の変更や免税制度の有無、さらには国ごとの価格調整方針なども、最終的な支払額に影響を与えます。

そのため、単に「昔はいくらだった」「今はいくらだ」という円建ての数字だけを比較するのは、実態を正確に反映した見方とは言えません。

要素価格への影響
為替円高=割安、円安=割高
消費税税率変更で体感価格が変化
海外定価国際基準での位置づけ把握

このように複数の外部要因が絡み合っているため、単純な円換算比較だけでは、「本当にロレックスは高くなったのか」、あるいは「為替環境が変わっただけなのか」を正しく判断することはできません。

中古価格を比較する場合、年式や付属品の有無、外装状態、オーバーホール歴といった個体差が価格に大きく影響します。

ロレックスは長期使用を前提とした時計であるため、同じモデル名・同じリファレンスであっても、保管状態や使用頻度、整備状況によって評価が大きく分かれます。

そのため、条件が少し異なるだけで、数十万円単位、場合によってはそれ以上の価格差が生じることも決して珍しくありません。

価格評価に影響する要素
年式 / 箱・保証書 / 状態 / 整備履歴

特に保証書の有無や正規オーバーホールの履歴は、市場での信頼性に直結する要素とされ、価格評価に大きな影響を与えます。

過去の価格と比較する際には、単にモデル名や年代だけを見るのではなく、「同等条件の個体かどうか」を意識したうえで判断する必要があります。

ロレックスを見る目的によって、適正価格の考え方は大きく変わります。

純粋に着用を楽しむことが目的であれば、価格の上下よりもデザインや装着感、所有する満足度といった要素が重視されるでしょう。

一方で、将来的な売却を視野に入れる場合には、現在の相場水準や流動性、人気の持続性といった市場性が重要な判断基準となります。

さらに投資目的で考える場合は、短期的な価格変動だけでなく、需給バランスやモデルの将来性、相場全体のトレンドを見極める視点が求められます。

目的重視すべき視点
買う状態・満足度・予算
売る相場・流動性
投資需給・将来性

このように、同じ価格であっても目的が異なれば評価はまったく変わります。

自分がロレックスをどのような目的で捉えているのかを整理せずに、価格情報だけを基準に判断してしまうと、本来得られるはずの満足度を損ねたり、結果として判断を誤ったりする可能性が高くなります。

今後のロレックス価格は、過去のような急激な上昇局面よりも、「高水準を維持しながらの調整局面」が続く可能性が高いと考えられます。

すでに世界的なブランド価値と市場評価が十分に織り込まれているため、短期間で大幅に下落するシナリオは想定しにくく、一方で過去数年のような急騰が再現される可能性も限定的です。

そのため、複数の要因を総合的に捉えた冷静な見方が求められます。

  • 生産数はブランド価値維持の観点から急増しにくい
  • 世界的なロレックス需要は地域を問わず底堅い
  • 為替動向次第で日本国内価格は上下する可能性がある

これらの要素が相互に影響し合うことで、価格は一定水準を保ちながら推移していくと考えられます。

そのため、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で市場環境や自身の目的を踏まえた判断を行うことが重要です。

ロレックスが「昔は安かった」と感じられる理由は、単に定価が上がった、あるいは相場が高騰したといった単純な話ではありません。

その背景には、

  • ブランド戦略の高度化
  • 市場構造の変化
  • 情報の可視化と共通認識の形成

といった複合的な要因が、長い時間をかけて重なり合ってきたという現実があります。

ロレックスは実用時計の最高峰という立ち位置から、世界的ラグジュアリーブランドへと進化し、それに伴って価格の意味合いそのものが変化しました。

また、市場の成熟や情報環境の変化によって、価格が常に比較・共有される状況が生まれたことも、「昔は安かった」という印象を強めています。

過去と現在を比較する際には、単に価格の数字だけを見るのではなく、「なぜその価格になっているのか」「どの前提で安い・高いと感じているのか」といった背景構造まで含めて理解することが重要です。

そうした視点を持つことこそが、ロレックスを感覚論ではなく、客観的かつ正しく評価するための最も重要なポイントと言えるでしょう。

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